第1章 エレクトロフォーミングについて 1.エレクトロフォーミングとは エレクトロフォーミングとは、日本語で「電鋳(でんちゅう)」と呼びます。一般に説明する時には、分かりやすい方がよいと思い「銅めっき」と表現していますが、「電鋳」が正しい呼び方になります。 また、私たちが使用している金属は銅ですが、銀や金の電鋳もあるため、「銅電鋳」と言うとさらに正確性の高い呼び方になります。 1.1 定義 エレクトロフォーミング(Electroforming)とは、電気の力を使って金属を物の表面に析出させ、形そのものを金属で再現する技法です。一般的な「メッキ(Electroplating)」が物体の表面を薄くコーティングするのに対し、エレクトロフォーミングは厚みをもって金属を堆積させることで、素材の形や質感をそのまま金属に写し取ることができます。 1.2 特徴 自然物(葉っぱ、花、石など)の繊細な形を残したまま金属化できる造形技術がなくても、オリジナルのパーツや作品が作れる 1.3 魅力 エレクトロフォーミングは、自然が持つ唯一無二の形や、不揃いの美しさをそのまま作品に活かせる技法です。「ありのままの形」を金属に変えることで、自然物が永く残り、新しい命を吹き込まれるような表現が可能になります。 2.「電鋳」と「めっき」の違い めっきと電鋳(電気鋳造)は、どちらも金属加工技術ですが、目的や製品の構造、製造方法などが異なります。 めっき:素材の表面に薄手の金属皮膜を形成させる表面処理技術。装飾や耐食性、機能を付与します。対象品と一体になったものを製品とします。 電鋳:母型を使用して部品(製品)そのものを作り出す製造技術です。不導体被膜を付加した後に導電体の表面に電解めっき加工を行い、導電体から剥がしたものを製品とします。母型の形状が忠実に形成されるため、形状精度が非常に高い製品です。 上記の電鋳の説明の通りの電鋳方法を実践している動画母型=ワックスで作った車(?)の表面に電鋳を施し、中のワックスを熱湯で溶かし出して、中空の金属アイテムを作っています。